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2025/11/10

20年以上ヘルスケアと向き合い、学んできて得た情報を皆様に

20年以上ヘルスケアと向き合い、学んできて得た情報を皆様に

私は20年以上、ヘルスケアのビジネスをサポートしてきました。医薬品、医薬部外品、化粧品、そして病気のこと、病院のことを理解し、自分の言葉で広く伝えていく仕事には、医療関係の知識が必要になります。そのため、ほぼ毎日のように医療機関や研究所などに通い、病気のこと、最新医療のこと、医薬品のことなどについて、医師や専門家から説明を受けたり、患者さんからお話を聴いて学ばせてもらっています。

同時に、数多くの疾患啓発や生活課題にも取り組んできました。脳卒中、がん、心臓病などの三大疾患。骨粗しょう症、認知症、変形性膝関節症、老眼、難聴、老人性乾皮症、パーキンソン病などの誰にでも起こりうるシニアの健康課題。アレルギー、便秘、ストレス性胃炎、抑うつなどの現代に増加している疾患。こうした病気をわかりやすく伝えるためのコンテンツを作る「ヘルスケアコンテンツ・ストラテジスト」や「医学ジャーナリスト」として長年活動してきました。

伝えたいことは色々ありますが、最も声を大にして伝えたいのが「病気とは、決してその場所だけで起こっているのではない」ということです。たとえば腰痛のような、一見軽い病気のように思えることでも、実は腰以外の場所で起こっている重大な病気の予兆であることがあるのです。私の場合もそうでした。

私の病

私の持病は「掌蹠膿疱症性骨関節炎」。症例数が少なく、難病にこそ指定されていませんが、非常に治りにくい病気です。まず、「掌蹠膿疱症」とは、手掌や足底を中心に発生する膿疱様の発疹を特徴とする皮膚の病気です。この「掌蹠膿疱症」の患者のうち一部が胸、背中、腰に激痛や腫脹を伴っており、鎖骨・胸骨・肋骨・脊椎・骨盤に骨の肥大、硬化、破壊などが観察される「掌距膿疱症性骨関節炎」を併発しています。

私の場合は、顎関節にも変調が出ました。症例が少ないとはいえ、実際はこの病にかかっていて、関節の激痛によって日常生活も送れないという人が、実は国内に数多くいるのではないかと思います。そのほとんどは、自分の病名さえ知らず、腰痛が出ればヘルニアだと思って整形外科を訪れ、湿布をし、痛み止めを服用するくらいで、根本的な体質改善はできていないのが現状だと思います。

原因が特定できない辛さ

私は25歳から背中がいつも痛く、毎日のようにマッサージに通っていました。29歳からは通院もままならず、自宅にマッサージの先生を呼ぶようになりました。そんな痛みがピークを迎えたのは41歳の時です。突然、足の裏と横の激痛で歩けなくなりました。皮膚が割れていくこと、骨や筋肉の痛みで眠れないことの辛さ以上に、原因がわからないということが何より辛かったです。当時は、足の皮膚が割れることと、背骨が痛むことが同じ病気であるとは思っていませんでした。

40歳を過ぎたばかりで、寝たきり生活を覚悟しなければならないのかという気持ち、歩けないのに仕事を続けてクライアントや同僚に迷惑をかけてよいのかという気持ちなどが交錯していたころ、インターネットでこの病気の専門サイトを知りました。そこに出ている症状は全て私に当てはまり、秋田でこの病気の外来をされている前橋賢先生の治療をすぐにでも受けたいと思いました。金曜の夜に電話を入れ、月曜の朝には秋田の病院の待合室にいました。

運命の医師との出会い

前橋先生に初めてお会いした日のことを今でもよく覚えています。午前は検査、午後は説明。ひと通り検査が終わり、売店に行くとお弁当やパンは売っていません。それを知った先生は、ご自分が買ってきたおにぎりを分けてくださいました。午後になると、この病気の発症のメカニズム、血中のビタミン濃度を一定にしておく重要性などを4時間にもわたって説明してくれました。最後に「治るから大丈夫」と握手をしていただきました。寝台車で東京に戻りましたが、その夜はうれしくて一睡もできなかったのを覚えています。

先生に従い、ビタミンBの一種であるビオチンを飲み始めると、足の皮膚の痛みが軽くなり、その後4日で歩けるようになりました。あの日の感動は忘れられません。足の痛みがないと、こんなにもストレスがないのかと驚きました。皮膚の状態もみるみるよくなりました。それでもたまに耐え難い背骨の痛みに襲われると、泣きながら先生に電話をしてしまいました。「いつでも秋田で入院していいよ」。その一言をいただくと、少しは安心することができました。達筆な字で「頑張れ。大丈夫」というお手紙をいただいたこともあります。

先生との出会いから10年以上を経て、今も治療を続けていますが、私はこの持病とうまく付き合えていると思います。というのも、この病は、遺伝的または後天的にビタミンBの一種であるビオチンの不足が原因であると先生に教えていただいたからです。ビオチンは飲むだけでなく、通院しながら注射も続けています。腸内環境と免疫、皮膚と骨と筋肉の関係、血液と神経、栄養を取り込む消化器、水分を排出する腎機能、それらは全て関わり合い、病気とは決してその場所だけで起こっているのではないということが今ではよくわかります。