Social design & Content marketing

弊社が得意とするPR手法が「コンテンツPR」。
お客様に伝えるべき情報をきちんと練り上げ「コンテンツ」とし、それを武器として
メディアと消費者を動かしていき、クライアントの売上に貢献するという手法です。

その「コンテンツPR」について、日本屈指のマーケターと言われる
佐藤義典氏が発行するメルマガ(売れたま!)上で、
弊社代表の市川純子にインタビューし、紹介していただきました(2020年5~6月)。
そのときの記事の抜粋をご紹介いたします。

市川純子プロフィール

株式会社ジェイアンドティプランニング
代表 市川純子

1961年栃木県生まれ。私鉄系広告代理店、PR 会社を経て、2004年ヘルスケア、スキンケア、栄養および食に特化したPR 会社「株式会社ジェイアンドティプランニング」を設立。 25年以上ヘルスケアのビジネスをサポートすると同時に、数多くの疾病啓発や生活提案に取り組んできた。医療全般、スキンケア、栄養療法などが得意分野。製薬会社、医療機関、化粧品会社、食品会社などのクライアントを数多く受け持つ。 動画制作やコンテンツ制作などクリエイティブに強い。 日本医学ジャーナリスト協会 会員。

代表 市川純子

コンテンツPRを成功へとつなぐ第一歩はソーシャルデザイン

社会的課題解決のためのビジョンとミッションの重要性

コンテンツPRは、きちんとやれば大きな成果をあげられることも少なくありません。

「コンテンツPR」の効果を最大化するための第一歩は「ソーシャルデザイン」つまり「社会課題の解決」を明確にすることです。やみくもにコンテンツを作っていくのではなく、自社が行うべき社会課題解決のためのビジョンとミッションを決めることです。

ビジョンとミッションを決めるという点では、コンテンツPRと商品開発は似ています。商品開発は「作る人の想い」、「売る人の想い」があり、さらに「市場性」を考慮して、新商品・サービスを打ち出します。その「想い」をストーリー的に蓄積していけばいいんです。「想い」をもって、きちんとマジメに商品を作っている会社は強いと思います。

コンテンツPRも「想い」が重要なポイントになります。ソーシャルデザインを明確にし、弊社が行った「想い」をコンテンツ化した成功事例を2つご紹介します。

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ソーシャルデザインの成功事例①:サバ缶

サバ缶で「漁業」と震災後の「日本人」を元気に

1つめの事例はサバ缶です。
サバ缶のソーシャルデザインは2つありました。1つは、日本のサバの価値をあげて、震災でダメージをうけた漁業を応援すること。
震災後、缶詰は「避難リュックに入れる保存食」だったのを、家庭のテーブルにあげたい、というのが戦略の原点でした。震災で大打撃を受けた漁業関係者のためにも、食卓に魚をのせて漁業の方を応援するために「サバ」がカギでした。サバは国内漁獲高の第一位。サバ缶が売れれば、日本の魚そのものの価値もあがるという確信がありました。
もう一つのソーシャルデザインは、日本人を魚で元気にすること。
加熱してあるので骨も無理なく摂れ、骨粗鬆症などにいいんですよね。さらに注目したのがサバ缶にたくさん含まれている魚の油。DHAやEPAです。
この成分には血管を強くするというだけでなく脳やストレスにもいいというエビデンスも多数ありました。とても疲れていた、ストレスに悩む私たち日本人にとって必要な栄養だと思ったのです。

「魚の栄養分がまるごと入っている」という気づき

サバ缶の価値を転換するために「社会課題を解決する新しい情報を提供できる」コンテンツ作りが始まりました。
まず、この課題に取り組む前に、消費者に愛されているツナ缶を徹底的に調査しました。そこでサバ缶とツナ缶との大きな違いに気がついたのです。サバ缶は旬のサバを、早ければ1日以内で缶に詰めていて「無添加」。このサバ缶の、サバの身と一緒に入ってる「汁」に着目をしたのがカギでした。サバ缶の汁は魚の栄養そのものです。ツナの油は捨てるけど、サバ缶の汁は捨ててはいけなかったのです。このことに気が付けたのは広報の方が教えてくれたお客様の声からです。サバ缶を食べたことがない方から、この汁をどうすればいいのかわからないという声がありました。この汁のことを栄養の専門家や医師と徹底的に論議しました。そしてこの汁こそサバ缶の価値だと気がついたのです。
当時多くの方がこの汁を捨てていたのですが、それをそのまま使っていただこうと考えました。

サバ缶のスタイル提案と書籍化によるコンテンツPR

魚に関する食習慣調査で、魚がキライなわけではなく、野菜とともに増やしたい食材の一つであることがわかりました。つまり、食べ方の提案が必要なことがわかりました。しかし、人が食べるようになるのはレシピではなくて「スタイル」です。そこで「スタイル」を提案しました。魚の缶詰がある日々の「スタイル」を提案したのが「缶たし」というスタイルです。缶詰を日々の料理に「足す」だけのスタイル、ということです。調理してあるから時短にもなりますし、汁はだしにもなります。
このキャンペーンをスタートする前に「缶たし」というキーワードで書籍を作りました。それがまさに「コンテンツPR」です。書籍を作り、それを商談に使ったり店頭に並べてもらいました。
書店で缶詰、スーパーで書籍。新しいクロスマーチャンダイジングです。またこれをメディアにも紹介しました。社会課題を解決する、ソーシャルデザイン起点のコンテンツPRというのは社会を巻き込みやすいと思います。

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ソーシャルデザインの成功事例②:女性の顔そり

「顔そりで美白」という発想で女性理容師さんを応援

2つめの事例は、カミソリです。
この場合のソーシャルデザインは「女性理容師さん」の応援です。男性も美容院に行くようになって理容院の苦戦が続いていました。顔そりというカミソリを使った施術は理容師さんしかできません。女性の理容師さんが女性にサービスをする場所として立ち上がりつつあった「顔そりサロン」を応援したかったんです。

うぶ毛は「くすみ」の原因です。うぶ毛が多い方は、肌にピッタリとベースメイクがついていません。光の乱反射で実際の色よりも仕上がりの色が濃く見えます。これがくすみの原因にもなっているのでは、と気づいたんです。それで「顔そりで美白」とつながりました。

専門家からエビデンスをとり、新しいスキンケアが誕生

消費者が納得しやすいコンテンツにするために、皮膚科医の先生に「顔そりの効果モニター」を実施したいと提案しました。うぶ毛ケアをしたことがない女性を皮膚科に集め、正しく顔そりをしてもらい、前後の肌状態を調べたんです。くすみが改善されるのはもちろん、柔軟性や水分量など全ての数値が改善していました。顔そりが古い角質も一緒にケアできるんですよ。

その結果、見た目と肌の状態を短時間で改善できることがわかったんです。しかも100円前後のカミソリで・・。これでカミソリは、顔そりの雑貨から美白とスキンケア用品になったんです。正しいうぶ毛ケア法を多くの専門家と作り、コンテンツとして発信しました。
それがきっかけで街に、顔そりサロンがたくさんできたんですよ。この年に理容院の登録もかなり増えたと伺いました。

マーケティングのゴールは「ファン作り」

ファンは口コミの原動力になり、新たなファンを生む

マーケティングのゴールは「売上を作る」のではなく「ファンを作る」ことです。
コンテンツPRは、手法としてはPRというカタチを取りますが結局は「ファン作り」であり、「ファンの強化」です。食品とヘルスケアの場合、コンテンツのベースがエビデンスになり、ファンになる理由、買う理由が明確化されます。

会社の営業部門の方は、新製品をどうしたら棚に入れられるのか、どうしたら買ってもらえるのかは気にしますが、ロングセラー商品は、入社したときから会社に当たり前にあるから分析できていないことが多いのです。ファンを作るコンテンツ作りは、消費者が買って、自宅に持ち帰った後で、どうすれば使い続けてくれるのか、に目を向けることが大切です。

コンテンツ作りによって、長年のファンの方々が、これからのファン、つまり新規顧客に積極的に勧めてくれるんです。いわゆる口コミです。「何となく」買っていたお客様が、「これでなければ」になるのです。この気持ちが、口コミの原動力になりファンの獲得につながります。

一過性のブームで終わらないコンテンツPRとは?

一度の購入だけを目標にしない 買い続けてもらう施策を

目指すコンテンツPRは「ブランドの長いファンづくり」がテーマです。一過性のブームを作りたいわけではないんです。「どうしたら買い続けてくれるのか」を考えます。
根づかせれば後はお客様が自分自身で広げていってくれます。一旦根づくと「ファン」となって、長期間にわたってブランドを支え続ける存在となってもらえます。これがコンテンツPRの目標です。
ブームを作るのではなく、ファンを作って、ロングセラーをさらに強化する。ロングセラーのなかにびっくりするほど可能性があります。自分たちで気づいていなかった強みを掘り当てて、コンテンツに落とし込んでいくわけです。

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ファン作りに欠かせない「消費者の声」は社内にある

消費者の小さなストレスに着目することがファン作りの原点

「コンテンツ」を作るにあたって大事なことは、日々の消費者の小さなストレスに着目して、消費者が納得するストーリーやデータを示すことです。そうすればメディアも取り上げやすくなります。効果だけでなく、正しい使い方や食べ方の啓発の積み重ねが大切なのです。実は、自社商品の「本当の価値」を売り手が気づいてないことはすごく多いんです。その洗い出しを支援することがとても重要です。その結果として、営業さんも自信を持って売れるようになります。

多くのメーカーの営業さんは、棚に並ぶ競合品との差別化に目がいき、自社の消費者を深堀りできていないことが多いのです。食品や消費財のメーカーだと商談先の小売店や卸のバイヤーさん、または棚の隣の競合品を気にする傾向にあります。でも一番見るべきは「消費者」です。営業さんは、バイヤーさんの意見は気にしても、消費者の使用シーンを徹底的に分析するクセがないのです。

直接の顧客である「流通の方が売りやすい環境」を作るために「消費者が買いやすくなるコンテンツ」を作ることが重要です。

意外に活用されていない「お客様相談室」にある生の声

そしてもっともやっていないのが、お客様相談室の活用です。お客様相談室にはクレームや販売店の問い合わせだけでなく、「お褒めの言葉」や「感謝の言葉」もきます。クレーム対応に目がいきがちですが、お褒めの言葉に関心を持てば、商品やブランドの価値、そして使い方や食べ方がわかってくるものです。買ったけど良さがわからない人、買い続けていて良さがわかっている人の、両方の意見に注目しましょう。

「消費者」に目を向ける、そしてその「声」は社内にもあるものです。
長年マーケティングPRをやっている人間は商品やブランドの魅力のエビデンスを分析したり、社会の課題とつなげて言語化することができます。会社全体をすぐに変えるのが難しい場合、一人一人のアイデアと工夫を溜めてチーム力を高めていくのがおすすめです。

第三者の評価がコンテンツ作りに重要

インフルエンサーの評価が、ゴールへと導く

コンテンツPRでは、ソーシャルデザインを基に作り手、売り手、買い手の3者の「想い」をコンテンツ化します。
コンテンツ作りに必要なのは第三者の評価です。インフルエンサーがいてコンテンツが成立します。
PRの最終ゴールはファンを増やすことで、長年のファンを取り込み、口コミで新たなファンを獲得することも重要です。

PRのノウハウを活かしたコンテンツの集大成
企業とメディアをつなぐニーズからスタートした「ネタマッチ」

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ファンを増やすアイディアがつまったコンテンツ発信サイト

「コロナを受けて、食品・ヘルスケア企業向けに、「ネタマッチ」というサイトをグループ会社のエムスリーカンパニーと2020年4月にリリースしました。一言でいうと、企業のネタとメディアのマッチングサイトです。
メディアから見ると「ネタ探し」から「企画化」までができます。取材がやりにくいコロナ時代に対応して、企業側の「コンテンツPR」のハードルを価格面でも下げたいと考え、発案しました。当社としても人手がかかる属人的なPR手法をコンサルの部分は丁寧に、コンタクトの部分は効率化する試みです。

今回の記事は、マーケティングのエキスパートである佐藤義典氏が発行する、
2万人以上の読者からの支持を得るマーケティングメルマガ「売れたま!」に掲載された
佐藤氏と弊社社長の市川との対談記事から抜粋したものです。

掲載にあたり、佐藤氏から寄稿文をいただいていますのでご紹介いたします。

「深く、広く」伝達するPRのプロフェッショナル

PR分野のコンテンツマーケティングの先駆者
J&Tプランニングの市川純子氏

情報をコンテンツ化し、それを武器に顧客を啓発していくコンテンツマーケティングは、深い情報をきちんと伝える、という手法ですのでもともとプロフェッショナルやBtoBでのマーケティングなどには向いています。
一方で、消費財などのBtoCでは「広く伝える」ことが必要になる場合があります。
その「深く、広く」伝えるという大変難しい課題を、PRで実現したのがJ&Tプランニングさん。特に食品・ヘルスケアに特化し、「PR」(広報)にコンテンツマーケティングを展開しています。
彼らはそれを「コンテンツPR」と呼んでいます。非常に理にかなった手法であり、考え方です。
実際、この手法を使って、サバ缶などの「社会現象」を起こしたとまでいわれたPRの仕掛け人がJ&Tプランニングの市川純子社長。
そのコンテンツPRの手法を私のメルマガ(売れたま!)を通じて明らかにしていったのが、今回の記事抜粋です。
私と市川さんのつきあいはかなり長く、もう10年以上になります。市川さんとお話をさせていただいていつも感じるのが、次の3点です。

1)あふれ出るアイディア

まず、話していて、市川さんは言葉が止まりません。アイディアが、そして言葉が、次から次へとあふれるように出てきます。
おそらく、色々なものを見て、感じて、それをアタマの中に格納されているのだと思います。どういう風に格納されているのか見てみたいところです。
そして、この「アイディアが出てくる」というのは、マーケティングの実践者として極めて重要なこととです。
私が米ウォートン校にMBA留学をしていたとき、世界的に知られたマーケティングの教授がおっしゃった言葉で今でも覚えているのが、「つまらないアイディア(lousy ideas)の中から、どんなに良いものを選んでも、つまらないアイディアでしかない」という言葉。
やはり、最初に「いいアイディア」が出てくることが大事なんですね。市川さんのようにアイディアがあふれでてくる、ということは、成果につながる確率がその分高まる、ということです。

2)背後にある戦略性

そして2つめは、そのあふれ出るアイディアの背後にある戦略性。
市川さんは、ずっと止まらずにお話し続けられるのですが、おっしゃっていることをつぶさに見ていくと、その背後には強固なロジックと戦略性があるんです。
素晴らしいメッセージというのは、お客様に「なるほど」を与えながら、「背後にある戦略性」(=売り手の意図)を感じさせないものです。
「売り手臭」がプンプンするメッセージは、消費者もメディアも敬遠します。
市川さんが繰り出すクリエイティブなメッセージの背後には戦略に裏打ちされた「したたかさ」のようなものを感じます。

3)消費者の動かし方を熟知

そして3つめは、市川さんは、「消費者」の動かし方を知っている、ということです。どんなメッセージをどのような媒体で出せば消費者が動くか、すなわち「リアルな売上につながるか」ということをよく知っています。
メディアとのおつきあいや、食品・ヘルスケア分野で顔も広く、消費者を動かすような動き方もできます。
このような市川さんが、どのようにモノを考えていらっしゃるのか、をえぐり出していったのが私のメルマガ「売れたま!」での今回の対談です。
メルマガの読者さんからの評価も非常に高かった特集でした。お楽しみいただけたのであれば幸いです。

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佐藤義典さんプロフィール

ストラテジー&タクティクス株式会社
代表取締役社長 佐藤義典

米国ペンシルベニア大学ウォートン校MBA
中小企業診断士

早稲田大学政治経済学部卒業後、通信会社にて営業・マーケティング、外資系2社にてマーケティングの実戦、営業・コンサルティングチームのヘッドなどを経験。2006年、戦略と戦術をつなげるを旨とするコンサルティング会社ストラテジー&タクティクス株式会社を立ち上げ、代表取締役となる。現在、マーケティング戦略に特化したコンサルティングを行う。シリーズ10万部を超える「ドリルを売るには穴を売れ」や、アマゾンで日本人唯一の「オールタイムベストビジネス書100」にマーケティング分野で選出「図解 実戦マーケティング戦略」などを持つマーケティングベストセラー著書としても知られる。マーケティングメルマガ「売れたま!」は、2003年以来1700号を超える発刊数を誇り、2万人を超える読者に愛されている。